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オランダ代表が、グループリーグ3連敗でユーロ2012を去りました。
プレミアリーグとブンデスリーガの得点王がいたし、2010年W杯の準優勝メンバー
(スナイデル、ロッベン、ファン・ボメル、デヨング等)も多数残っていて、
前評判は高かったのですが。

なんだか、2002年W杯を思い出しますね。
当時のフランス代表には、ジダン、マケレレ、ビエリ、テュラムを始めとしてユーロ2000の
優勝メンバーが多数残っていたいた上に、アンリ(プレミア)、トレセゲ(セリエA)、
シセ(リーグアン)という3人の得点王を抱えていたにも関わらず、1分2敗で
グループリーグ敗退。

そのときとイメージが被ります。

しかし、当時のフランス代表と今回のオランダ代表で決定的に違う点があります。
フランス代表の場合は、リーグ戦やCLの直後にW杯があったため、
強いクラブにいた選手ほどコンディションが整わなかったことが主な原因でしたが、
今回のオランダ代表の場合は、そうではないからです。

簡単に言えば、オランダ代表は大きな勘違いをしていました。

「自分たちは、攻撃的なチームだ」

そう思いこんでいたように見えました。
選手だけでなく、おそらくファン・マルヴァイク監督さえも。
2010年W杯の準優勝チームとベースは何も変わっていなかったのに。

覚えてらっしゃる方も多いでしょう。
2010年のオランダ代表は、慎重かつ守備的。
勝つことだけを目的としたチームでした。
強くはありましたが、決して攻撃的ではなかったと思います。

例えば、格下の日本(岡田ジャパン)相手のときでも、前半は守備的なサッカーを
徹底して0-0。
後半に入ると、一気呵成に攻撃を仕掛けて1点をもぎ取り、その後はまた注意深く守って
リスクを一切排除し、シナリオ通りに1-0の最小得点差で勝ち切りました。

まるで、むかしのユベントスのよう。

そのチームスタイルには、ユーロ2008の決勝トーナメント初戦でロシアに1-3で
惨敗した苦い思い出が、色濃く投影されていました。
メンバーは豪華なのに、なぜか負ける。
結果を出せない。
そういうチームであることに嫌気が差したのでしょう。

だから、守備的だ/美しくない/ファウルが多すぎる等と言われながらも、
勝つことだけを目指した。
そうして、W杯準優勝を成し遂げたのでした。

当時のオランダ代表を忌み嫌う人も多かったと思いますが(特にクリーンなプレーが
好きなJリーグファンの方々には)、私は好きでした。
ファン・ボメルのレッドカードぎりぎり(イエローカードぎりぎりではなく)の激しいタックルや
気迫とメンタルで執拗に人をマークするその執念。
そのくせ、あれだけカードが乱れ飛んだW杯決勝において、ファン・ボメルはカードをもらって
いません。
あの計算しつくされた激しさ。

そこに、しびれました。

ちょっと話がそれましたが、2年前のオランダ代表は、それほど守備的でフィジカルを
前面に押し出したチームでした。

ですが、ユーロ2012の予選では1試合平均3.7ゴールを叩きだし、1位突破。
直前の親善試合でも、弱い相手を攻撃で圧倒して2連勝。
すさまじい得点力を見せました。
これじゃ、自分たちを攻撃的なチームだと勘違いしても無理もありません。
何もスタイルが変わっていなくても。

バイタルを空けずに低い位置できっちり守って、前線のタレント数人がカウンターで点を取る。
それが、2010年以降のオランダのスタイル。

今大会で3連敗した後にオランダのことを“前後分断サッカー”などと揶揄する向きがありますが、
私に言わせれば、何を今さら、という感じ。
低い位置からカウンターを狙うチームは、前後に分断するのが当然。
それは、2年前と何ら変わりありません。

変わったのは、ラインの高さです。
守備的なスタイルのはずなのに、なぜかラインを上げて攻撃的に戦おうとしたオランダ。
ラインを上げた状態で前後分断に陥ったら、そりゃ守備は連動しないわ、攻撃は個人技任せに
なるわ、と散々な状態に陥るのは明白です。

もともと、いまのオランダは、前線から連動してプレスを掛ける、とか、流動的に選手が動いて
次々とスペースメイクしながらパスを回す、というようなプレーはしていませんでした。
そういったプレーを予選ではしていなかったのに(直前の親善試合でもしていません)、
ユーロ2012の本番を迎えたとたん、突然できるようになるはずがありません。

だからこそ、今大会のオランダのプレーには、ものすごく違和感を感じていました。

低い位置からのカウンターを主軸に置くチームが、どうしてボールをポゼッションしようとするの?
相手に持たせりゃいいじゃん。
ボールを渡せば、ドイツもポルトガルもデンマークもボールを持ってくれるよ。

その結果、どの試合も運動量でごまかせる前半20~30分でメッキがはがれて、攻撃は停滞。
いたずらにラインが高いため、守備でもスペースがあちこちにできて、相手にチャンスを
量産されました。
3連敗したのは、当然のことだったと思います。

オランダは、予選や親善試合を通じて弱いチームとばかり対戦して勝ち続けたために、
自分たちのサッカースタイルを見失いました。
一度は封印した「トータルフットボール」という古(いにしえ)の幻想が、
2010年に準優勝したことで、監督や選手の心に復活してしまった部分もあったんじゃないかと
思います。
いま、彼らがピッチ上で見せていたプレーは、トータルフットボールからは程遠いスタイルだったのに。

実は、ユーロ2008のオランダ代表も、同じような勘違いをしていました。
グループリーグでは3試合とも大量得点を取って、爆勝。
1位抜けで決勝トーナメントに進みました。

世間やマスコミは「トータルフットボールの再来だ」と声高に喧伝し、チーム自身も
自分たちは攻撃的なサッカーをしている、と思い込んでいたように見えました。

ですが、実際には違いました。
グループリーグの3試合での先制点は、すべてセットプレー等の偶発的なものであり、
オランダが仕掛けて先制点を取ったわけではありませんでした。
そして、先制された相手チームがリスクを冒して攻撃に出なくてはならなくなったところを
オランダがカウンターで突いて大量得点を稼いだ、というのが実態でした。

ですから、決勝トーナメントの1回戦でロシアと対戦した際に、
自ら仕掛けて先制点を取る手法を持っていなかったオランダは、
仕掛けて先制点を取れるヒディンク・ロシアに惨敗したのでした。

ほんと、オランダは自分自身のことを勘違いしやすいなぁ、と思います。

個人的には、あれだけ豪華メンバーがいるのですから、もっとリアリズムに徹して
勝利を目指してもいいんじゃないでしょうか。

トータルフットボールという言葉は美しいですが、それは1974年W杯のことらしいですよね?
もう40年も前のことです。
伝説の大会だったそうですが、私はクライフの現役時代を見たことがないし、
興味もありません。

また、私がサッカーに興味を持ち始めたここ15年ほどの間、オランダ代表が
W杯やユーロでトータルフットボール(らしきサッカー)を実践したことは、
一度もなかったと思います。

ですから、私には、トータルフットボールがどういう物なのかよく分からないのです。
イメージだけが先行して、亡霊のように存在しているキーワード。
それが、私にとっての「トータルフットボール」という言葉です。

オランダ代表が、いまだにそんな亡霊に縛られているのは、滑稽でもあり悲しくもあります。
代表の素晴らしい選手たちの能力が、亡霊のために無駄に浪費されていくのは、見るに耐えません。

オランダ代表には、そろそろ「トータルフットボール」から卒業して、目の前の選手たちを
生かす術(すべ)を考えて欲しいです。
サッカー選手の旬は、短いのですから。
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