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ブンデスリーガ2部の試合を見ました。
元セレッソにして、セクシーフットボールの申し子、乾が所属するボーフムの試合です。
対戦相手は3位につけているグロイター・フュルト。
知らないチームです。
一方のボーフムは9位。
2部は18チームありますから、ど真ん中の順位と言っていいでしょう。

いきなり、乾がゴールに絡みます。
相手陣内の真ん中でボールをもらうと、左にドリブると見せかけて、
オープンスペースの右サイドへ。
ただ、相手のDFもすぐにそれに追随してポジショニングを変えたので、
それほど効果的なパスではありません。
受けた選手が軽くドリブルして、DFから取れない位置にボールをずらします。
そして、縦にスルーパス。
走り込んだ選手がワントラップして、グラウンダーのマイナスのクロス。
DFやGKの間をキレイに抜けます。
ボールは、逆サイドからゴール前に走り込んでいた乾の足元へ。
そのままダイレクトシュート。
ゴール、先制!

乾が上手かったと言うより、どちらかと言うと相手SBのミスでした。
あっさりと乾に自分の前に入られてしまった上に、乾がボールを受けるまでに
1~2秒あったのに、前に入り直すなりポジショニングを変えるなりと対応を
しませんでしたから。
ペナルティエリア内だったので、そう無理はできないにしても、もう少し守備を
工夫すべきでした。
ただ、乾が基本通りきっちり詰めていたのは、良かったと思います。

アウェイとは言え、早々にボーフムが先制したので、この後はボーフムペースで
試合が進むかと思いきや。
その後は、グロイター・フュルトのゴールラッシュ。

同点弾は、なかなかおもしろかったです。
ふわりと浮かしたボールをサイドを縦に出し、DFラインの裏を突きます。
そこに足の速い選手が走り込んで、ダイレクトでグラウンダーのクロス。
ニアにFWが走り込んで先制。
なんだか俊輔を思わせる浮き球パスでした。

3点目は、乾が失点の起点。
ドリブルで敵陣に突っ込んだ乾が数人のDFに囲まれてボールを奪われ、
そこからカウンターが発動します。
ボーフムDF陣は人数はそろっていたのですが、チェックが微妙に遅く、失点。

一方、ボーフムのMFクラマーが、個人技で一人気を吐きます。
右サイドでのドリブルで3人抜いた上に(マルセイユ・ルーレットまで使ってました)、
GKの股下を抜いてゴール!
スゴイ。

が、反撃もそこまで。
6-2でボーフムは負けました。

ボーフムというチーム自体にいろいろと問題がありますが、
ちょっとそれは横に置いておいて、乾のことを。

いまの乾は、セクシーではなくなりました。
野洲高校時代に一世を風靡したセクシーフットボールを乾は捨ててしまったと
言っていいでしょう。
足元の巧さに多少名残がある程度です。

特徴的なのは、代名詞だったドリブルをほとんど使わなくなったことです。
ボールを運ぶためにドリブルをすることはありますが、相手を抜いてチャンスを
作るようなドリブルはしません。
この試合で言えば、失点の起点になったときくらいですね、ドリブルでDFと勝負したのは。

ですから、パッと見は、いまの乾はおもしろくありません。

乾は、野洲高校を卒業後かなり苦労したと思います。
まだ23歳で高校卒業して5年しか経っていませんが、その間に壁にぶつかり、
いまもそれを超えていませんから。

トラップ・パスといった基本技術の高さは、さすが野洲高校仕込みですが、
身長は169cmと低く、体重も軽い。
そのために、あれだけ得意だったドリブルが、プロ(横浜Fマリノス)では
ほとんど通用しませんでした。
ドリブルをしても、まず相手を抜けない。
たまに1人抜いても、背後をフォローする2人目のDFにボールを奪われる。

さらに、高校時代は意表を突くアイデアでチャンスを量産してきたのに、
スペースを与えてくれないプロの世界では、アイデアを実際のプレーに
落とし込むことをさせてもらえません。

パワーとスピードが向上した現代サッカーではファンタジスタが
活躍しにくいと言われていますが、乾もそれに当てはまる気がします。

野洲高校での活躍が華々しかったぶん、J1で通用しないという事実は、
本人はもちろん、ファンである私にもショックなことでした。

乾はマリノスからJ2のセレッソに移籍し、カイオや香川とのトリオで
一定の活躍を見せます。
しかし、それはセレッソがショートカウンターを中心としたチームで、
存分にスペースが与えられたから。
J2という舞台だったことも大きかったです。

セレッソがJ1に上がった2010年シーズン。
ここで乾がマリノス時代のリベンジを果たしました。
・・・・となればキレイな成功ストーリーとなるのですが、そんな上手くはいきませんでした。
チームの中心となったのは、家長と清武。
香川もドルトムントへの移籍前に存在感を示していました。
乾はレギュラーではありましたが、活躍したのはスペースがあったときだと言っていいでしょう。
仲間と連携しながらスペースを謳歌したときは、得点に絡んでいました。
逆に言えば、スペースのない場面のプレー(特にドリブル)は改善されていない。

この頃から、乾はドリブルでの勝負をしなくなり始めていました。
自分のドリブルは、プロでは通用しない。
そう悟ったのでしょう。
残念ですが、それが現実でした。

香川と家長が抜けた後、セレッソのエースになれるかどうかを賭けた2011シーズン。
ブレイクしたのは、乾ではなく清武でした。
引き続き乾もレギュラーでしたが、エースだったかどうかは疑問です。
ですから、2部とは言えブンデスリーガに移籍すると聞いた時には驚きました。
この出来で海外移籍が可能なんだ。
「ブンデスリーガは、日本人なら誰でもいいの?」
なんてことを思ったほどです。

乾は、いまだスペースの無い場所でどう自分を生かすか。
その壁を乗り越えられていません。

ただ、いまの乾は、まったく別のアプローチで生き残りを図っています。
それは、ポジショニングです。

ボーフムの試合を見ていると、乾はフリーマンのようにあちこちに顔を出します。
ほとんど走ることはしません。
歩いて移動します。

どこでボールをもらうのが良いのか。
どこが危ないから、どこに行けば守備に貢献できるのか。

それを考えながら、ふらふらと移動しまくっているように見えました。

すべてのポジショニングが上手くいったわけではありませんが、
乾がひょいっとあちこちに顔を出すおかげで、うまくパスがつながったり、
守備で相手の起点となりそうな局面を潰したり、ということには
つながっていたと思います。

ちなみに、走らないのは、試合終盤でもダッシュ力とプレーの精確性を
確保するためでしょう。
この試合では、後半30分を過ぎても鋭いダッシュ力を見せていました。
攻められていたので、主に守備の際にですが。

きっと乾は、足元の技術ではなくポジショニングで勝負する選手に
変貌しようと試行錯誤しているんじゃないでしょうか。
狭いスペースでは活躍できないという事実を受け入れて、スペースを
見つける(もしくは守備ではスペースを埋める)技術を磨いて勝負する。
そう考えを変えたように見えます。

たぶん、目指すのは中村俊輔のスタイル。
パスの質はかなり違いますが、狭いスペースではドリブルで相手を抜けないにも
関わらず、日本代表に君臨した俊輔のような選手になるのかもしれません。

足元の技術よりポジショニングを選んだ乾のプレーは、セクシーではありません。
高校時代とは違い、DFに囲まれても華麗な足元でその局面を打開することはできません。

「ゴール前の狭いエリアでの能力は、本田圭佑や香川には及ばないよな」
なんてしたり顔で言う人もいますが、それは本人が一番よく分かっていると思います。

ですが、試行錯誤しながら、別の道を探し始めた乾は違う意味で魅力的です。
今後も、山あり谷あり。そんなに順調にはいかないでしょう。
もしかすると、ブンデスリーガで失敗してJに舞い戻り、そのうち忘れ去られた存在に
なるかもしれません。

でも、生き残りを賭けて、苦しんで生み出した自分なりのスタイルで挑戦する。
それは尊い。
そして、おもしろいと思います。

今後も乾に注目です。

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