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『浦和は、縦ポンサッカーからショートパスをつなぐサッカーに変革中』

よくそういうことが言われます。
サッカー雑誌を見ても、サッカー中継の解説者の解説も、スポーツ新聞も。
Webでのブログでも、そう言われることが多いです。

しかし。
私が、第26節の浦和-セレッソ大阪戦を見ると。
浦和がやっていたサッカーは、ショートパスをつなぐサッカーには見えませんでした。

もちろん、縦ポンサッカーとは違います。
でも、ショートパスをつなぐサッカーとは違うんじゃね?

そんな疑問が、頭から離れません。

もう一度確かめたい。
この前の試合は、たまたま違う展開だったのかも。

そう思って、第27節の磐田-浦和にチャンネルを合わせました。

この試合の浦和のフォーメーションは、こんな感じでした。

------------------------------
     エジミウソン  エスクデロ
 原口              高橋峻希           
       柏木    細貝
宇賀神    坪井   山田暢久    平川
            山岸
------------------------------

たぶん、4-4-2。
(エスクデロがトップ下に入る4-2-3-1だったかも。)

えーっと。
試合開始15分。

いきなり結論が出ました。
やっぱり、一般的に言われるパスサッカーじゃないですね。

バルサやアーセナルとは、ぜんぜん違います。
黄金期のジュビロとも、2年前のガンバ大阪とも違いますね。

確かに、縦ポンサッカーじゃありません。
ですが、これをパスサッカーと呼ぶのはちょっと違う気がします。


サイド突破サッカー。
攻守のバランスを取るサッカー。

それが、いまのフィンケ浦和の特徴だと思います。
いまの欧州サッカーのトレンドの1つでもあります。

そして、フィンケが掲げるように『コンビネーション(連携)サッカー』と
呼ぶことには、全く違和感がありません。

コンビネーションサッカー≠パスサッカー

だったというわけです。
よく考えれば、別に不思議でもなんでもないのですが。


この磐田戦でのポゼッション率は高く、65%にも達しました。
しかし、ポゼッションが高いことを前提としたサッカーは
していないと思います。

また、前からプレスを掛けてショートカウンターを狙う、というような
パスサッカーを好むチームの常套手段も取りません。

プレスは掛けますが、前線でボールを奪ってしまおう、という守備ではなく、
サイドに追いやるような守備をします。
そして、自陣のあまり高くない位置で奪って、速くサイドを突破します。

そのときに、長めのパスを素早くつないでサイドを突破することもあれば、
ドリブルで突破することもあります。

低い位置でボールを奪うのは、たぶん意図があります。
相手のサイドの選手が自陣に来たところでボールを奪うと、
カウンター気味になって、敵陣のサイドに人が少なくなり、
ボールを持ちやすいからです。

そうは言っても、相手のボランチやCBは残っているので、
中央は空いてないんですが。
そこは個人の能力でこじ開ける、ということなんでしょう。

基本的に、サイドチェンジはしません。
後半に1本あったくらい。
そう言えば、前節のセレッソ戦でもサイドチェンジした記憶はないような。

ボールがピッチを斜めに横切ることで、途中で奪われてカウンターを
受けるリスクを嫌っているんだと思います。
柏木・細貝は、かなりの頻度で前線に上がるので。

このサッカーでは、サイドでの攻防が胆になります。
ですから、パスだけで突破するのではなく、ドリブル突破でも突破できる
バリエーションがサイドに必要です。

そういう意味で、サイドに原口と高橋峻希を置いているのは、
非常にロジカルな気がします。
今日は、エスクデロとエジミウソンというドリブルもできるFWが
前線にいたので、さらに効果的でした。

ちなみに、以前の記事で「原口の長所は、あまり生かされていない気がします。」
と書きましたが、それは謹んで訂正させて頂きます。
原口のドリブルとパスの両方のスキルが生きる使い方だと思います。

磐田は、パスとドリブルを絡めて何度もサイドを突破されていて、
なかなか侵入を阻止できません。
ただ、中央はきちんと閉めています。
ですから、シュートは打たれますが、ポゼッション率の差(磐田35%⇔浦和65%)から
受ける印象に比べれば、危険なシーンは少なかったと思います。

実際、前半は一進一退の攻防で0-0。

後半は、エジミウソンが先制して浦和が主導権を握りました。

こうなると、かなり磐田は辛くなります。
堅守速攻で前田とジウシーニョ頼りの得点を狙っていたはずなので。

ところがところが。
磐田の前田が、個人技でエンドライン際を突破。
ラストパスをジウシーニョに合わせて得点。

攻守ともバランスの良いフィンケ浦和の組織が、
個の能力で破壊されてしまいました。
これは、前田が良かったです。
やっぱり闘莉王の穴は、大きいのかな?

しかし、この後もフィンケ浦和のコンビネーションサッカーは冴えていました。
磐田は、ほとんどチャンスを作れません。

前田やジウシーニョは確かに巧いですが、ワシントンのように個の力だけで
得点を量産できるタイプではないので、追加点を期待するのは望み薄。

磐田が勝つには、セットプレーしかないだろうな~。

そう思っていた後半25分。

正に、そのセットプレーから那須が加点。
那須が走り込んだところに、GK山岸が逸らしたハイボールがちょうど
落ちてくる、という強運。
ただ、角度のないところからのシュートは上手かったです。

今日の浦和は運がなかったですね。
サッカーの内容は良かったのに。

その後は、磐田が引いて守って守って、浦和の追撃を断ち切りました。
2-1で磐田の勝ち。

この試合には負けましたが、浦和のサッカーは非常に安定していて
良いサッカーだと思います。
フィンケは、少なくとも今シーズンはこのサッカーを貫き通すでしょうね。
リーグ3位(ACL出場)は、十分に射程範囲内でしょう。


それにしても、試合をよく見ずに、言葉を振り回すのは良くないですね。
それは単なる記号化でしかなく、本当の姿とは掛け離れた言葉になってしまいます。

私も反省しますが、プロのライターさんたちにも反省して欲しいです。
『パスサッカー』という言葉が、ひとり歩きしている気がします。
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